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和の色について知ろう

文化

俺はしがないサラリーマン。事務用品の営業をやってる。毎日毎日、朝から晩まで、中古のライトバンを駆って静岡県内を走り回ってるんだ。

支店長は乱暴だし、同僚たちもすぐバカにする。デブだからだ。それで、外回りで、支店にはなるべくいないようにしている。だから、昼メシはいつも車の中。ラジオを聞きながらマックのハンバーガーをぱくつく。

家族はいない。いつも孤独なロンリーマンてやつ。

ああ、明日からまた仕事か・・・営業で新年のあいさつ回りも、骨が折れるんだよな。取引先のアホ面を見るだけでゲンナリさ。

まったく、どいつもこいつも成っちゃいねえよ。こんな時は和の色を眺めるに限るな。

「和の色事典」をカラーボードの本箱から取り出す。

  1. 緋色・・・ウットリする色だ。
  2. 青碧・・・渋い感じだ。
  3. 黒紅・・・黒っぽいけど、どことなくしっとりする色だ。
  4. 山葵色・・・名の通りの色だけどホンワカした感じだ。
  5. 桔梗鼠・・・明るい鼠色って感じだ。
  6. 翡翠色・・・これは質感が素晴らしくて好きだ。
  7. 肥後煤竹・・・寂寥感に溢れる色だ。
  8. 鳩羽色・・・紫っぽい色だが高級感があるんだ。
  9. 鉄紺・・・硬質な紺色だ。
  10. 群青色・・・淡い感じだ。

いやあ、目が洗われるようだな。日本人の色彩感覚には素晴らしいものがあるんだ。

うん?そうだ!事務用品にも、こうした和の色を取り入れるべきじゃないか!

翌日、支店長に提案したが、予想通り「アホか!」の一言でお終いだった。だが、覚醒した俺に限界はなかった。大阪の本社に直訴して見事に成果を収めたんだ。

それからは破竹の勢いだった。半年後に、あのクソ支店長を蹴落とし後釜に座り、一年後には本社に栄転で課長待遇、それからも順調に部長・重役・副社長を驀進だぜ。

20年後・・・私は会長になった。すでに代表取締役の地位は社長に譲り、週に一回出社するだけの名誉職である。

気分は「金色」な感じだ。本社も、大阪では格に落ちるので強引に東京に移転させた。その甲斐もあって、全国から優秀な人材が集まってくれた。

つまり、様々な「色」が混じり合って、わが社は「も綾な色」になったのだろう。大阪では不可能なことだ。

さて、家族の待つ目黒の邸宅にセンチュリーで帰ろう。

 

定本 和の色事典

定本 和の色事典

 

 

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