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映画なんかクソ食らえ!

俺はよお、映画監督になりたくてよお、遥々よお、鹿児島から上京したわけ。

 

そんで、たけえ金を払ってよお、専門学校に入ったんだ。だって、パンフに、ここに入ればコネも効いて、すぐ監督になれるって書いてあったからよお。

ところが、これがひでえ学校でよお、てめえの自慢話しかしない先公どもでよお、ちっとも知識が身につかねえんだ。

生徒の奴らも、「君の名は、泣けたよね!」なんて吹かす、甘ちゃんのアホばっかw

就職先も、監督になれる奴なんて、数えるくらいしかいねえんだぜ。大方は、広告代理店も真っ青な、キツイ重労働が当たり前の、下請けプロダクションで使い走りするのが関の山だ。

冗談じゃねえよ!俺はよお、そういうさ、人に命令されるの大嫌いなんだ。それでも、何年か修行すれば監督になれるなら、我慢のしようがあるってもんだけどよお。

でも、そんなの、かつての邦画黄金時代のハナシだしなあ・・・

まあ、結局、最後まで通ったけどよお。で、最後の望みでさ、卒業制作で傑作を作れば、ひょっとしたらと考えたわけよ。

本当は、16ミリで撮りたかったけどよお、貧乏学校だからそんな機材ねーし、しゃーねえから、スマホで代用することにしたんだ。

タイトルは、俺はタランティーノ大好き人間だから、ずばり「ポンコツドッグス」。

冴えないチンピラの銀行強盗を描いた30分の短編アクションコメディだ。でも、スタッフの連中も冴えない奴らでよお、トラブってばっかw

「監督、銀行のセットですけど、無理っすよ。シナリオ変えません?」

「はあ?助監督のくせに、ふざけんな!」

パンチ一発。

「監督、この逃走シーン、こんな町中じゃ危なくないですか?」

「あ?おめえ、キャメラマンだろが!てめえで、考えろや!」

キック一発。

そして誰もいなくなった・・・しょうがないから一人でよお、自分の部屋で、自作自演で撮ったよ。10分くらいのヤツ。強盗に失敗して潜伏してる設定でさ、ぶつくさ不平を言ってる感じでな。

ま、タイトル通り、マジもんのポンコツ映画になっちまってよお、意気消沈てヤツw

あれから2年、サラ金ティッシュ配りで、何とか食ってる。その間、ビデオのアダルト一本を手伝ったけど、そんだけ。

電車の騒音がひどいボロアパート。夕めしは肉まん一個。

あ~あ、田舎に帰るかなあ・・・オヤジの農業を手伝うしかねえよなあ・・・憧れの大東京・・・それがよお・・・こんな腐った現実・・・

半月後、俺は東京駅にいた。もう戻ることはねえよお。ホームから映画の宣伝看板が見える。

・・・泣けてきた。

 

映画監督への道: 40人が語る監督になるための発想と技法
 

 

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