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記者のネタ探しは大変だ

経済

「先輩、ネタがないっす~どうしよう?」

 

喫茶店で、タブロイド紙の記者2人が会話している。AとBだ。

Aは30代のベテラン、ブルドッグみたいな奴だ。

Bは20代のひよっこ、ダックスフントみたいなチビだ。

「おめえなあ、それくらい自分で考えろよ!」

Aは、タバコをプカプカ吹かせながら、言った。

「はあ・・・やっぱ、都知事関係で探すしかないかな~」

「だからダメなんだよ!」

Aは、コーヒーを音を立てて、すすった。まるで、じらすように。

Bは、固唾を呑んで、次の言葉を待った。

「・・・もうな、都知事なんてオワコン案件は、手垢がいやっていうほど付きまくってんだろ?」

「そうっすかね・・・今でも、けっこうワイドショーとかやってますけど」

「そんなの、大手に任せりゃいいんだよ!俺ら弱小のタブロイド紙が、それ真似たって意味ねーだろ」

「はあ」

Bは、毒々しい色をしたメロンソーダを飲んだ。

「例えばだ、これだよ」

Aは、テーブルに置いてあった、おしぼりを上にあげた。

「?」

「誰も見向きもしないモンだが、これにだって、色々あるんじゃねーのかな?」

「はあ・・・」

「探せばな、どこにだってネタがあるもんだ。人の行く裏に道あり花の山ってやつさ」

Bは、感動した。そうだよな、みんなと同じことやってもしょうがないよな!

 

早速、おしぼりの事情を取材することにした。

古くは、「源氏物語」の時代からあるらしい。公家が客を招く時に、濡れた布を用意したそう。江戸時代になると、宿屋が桶と手拭いを用意し、客はそれで手足をぬぐった。

一時期すたれたこともあったようだが、戦後になって復活、最初は店ごとに用意し、使用後も手作業で洗っていたが、1950年代半ばになって、貸しビジネスが生まれた。

とはいえまだ、家庭用洗濯機で洗って、一本一本手で丸めて、店に卸すという原始的なことをやっていた。

60年代に入り、機械化され大量処理が可能になり、70年代に入ると、使い捨ての紙製が現れた。

 



現在では、こんなものもある。

 



一口におしぼりと言っても、高級なモノもあるそうだ。

 


あるいは、こんな一品も。

 


 Bは、取材を通して、おしぼりの奥深い世界を知った。

そして、地球環境的にも、できるだけ使い捨ての紙製ではなく、布製のおもてなし感覚あふれるおしぼりを使っていきたいものだと、痛感した。

社に帰ると、Aが仁王立ちしていた。

「あれ?Aさん、どうしたんすか?」

「行ってきたか?おしぼり・・・」

「ええ!面白い記事になりそうっす!」

「そうか、じゃ、ちょっと見てやろう」

「えっ?」

結局、Aに横取りされてしまった。

悔しかったBは、すぐ退社し、パスタのチェーン店に駆け込んだ。あふれる涙を、安っぽい使い捨ての萎びたようなおしぼりで、拭うのだった。

 

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