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タブレット連続殺人事件

経済

警視庁の殺人課、敏腕刑事の小論保は、ある連続殺人を捜査していた。被害者は、いずれもタブレットの設計者だった。

 

「おそらく、タブレットに何か強い恨みを持つ犯人像が浮かびますね」

部下の刑事が、塩バターのラーメンをすすりながら言った。

「ほんとにそう思う?」

小論保は、餃子を一つ醤油につけて、口に放り込む。

ガード下の屋台、夜の寒風が容赦なく吹き付ける。

「じゃないと、説明つきませんよ」

「これ、見てごらんよ」

小論保は、おもむろに雑誌を見せた。

 


「へ~、アップルのIPADも落としてんだ」

「そうなのよ、だからさ、先細りしてんのよ」

そこへ、屋台の親父が口を挟む。

「今度、任天堂から、スイッチですか?なんかこう、タブレットっぽいのが、出るじゃないですか?あれ、けっこう、IPADとかの強力なライバルになるんじゃねーのって、もっぱら俺らの間でも持ち切りですよ」

小論保は、意外そうな顔で親父を見やった。

「そうかね?あたしゃ、それには疑問符を付けたいけどね。大体さ、スペックがひどすぎない?あれじゃ、据え置きなのか携帯機なのか、中途半端でしょ」

「そんなことないと思いますよ。言ってみりゃ、タブレットなんてラーメンの器みたいなもんです。肝心なのは、中身のラーメンじゃないすかね。だとするなら、ソフト・コンテンツでしょ。任天堂の独壇場ですよ」

親父は、胸を張って反論した。

「そりゃ、中身も大事だけどさ。器が、例えば、貧弱な発泡スチロールだったら、すぐ穴が空いちゃうんじゃない?ハードのスペックも侮れないよ。問題は、SoCなんだ。コアクロックとか、コア数とかね。スナップドラゴンなんかいいよ」

「あ~警部。それよりも、画面の解像度とか、メモリに、ストレージの方が、重要になってるんじゃないですか?」

部下の刑事が、口を挟んだ。

「おい!お前さん、いつから、そんな偉そうな口を叩くほどのご身分になったんだ?」

小論保は激高した。ビールの酔いのせいだろう。

「いや、別に、そのう・・・」

「あんたな、事件の話をしたいって、ここに誘ってきたんだろ?」

「は、はい」

「じゃ、何で、そんなトンチンカンな話になるんだよ!」

小論保は、部下の襟首をつかんだ。

「ちょっとお客さん、やめなさいよ。いい年して・・・みっともないでしょ」

親父が仲裁に入った。

「何だよ、いい年って?年もクソもあるかボケ!」

これには、部下もマジ切れした。親父を実の父親以上に慕っていたからだ。

「警部!そんな言いぐさはねーだろ!許しちゃおけねえ!」

こうして、電車の通過音がひっきりなしに響く中で、三人は取っ組み合いのバトルを繰り広げ、相討ちになり、早朝、三人の死体が凍てつく路上に転がっていたのだった・・・

 

 

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